
未来に漠然とした不安を感じることはありませんか?
人生の意味に悩んだ時
漠然とした不安を感じた時
何かを決断するべき時
人生の岐路に立つ時
そっと寄り添い大切なことを教えてくれる本が昔よりありました。
「自分はどう生きるべきなのか?」
今、あらゆるものがAIに置き換わり、これまでの安定した価値観がゆらぎ、戦争や気候変動も起きています。
変化の時代が訪れました。時代の転換点です。
時間のある夏休みに、大切な何かをつかみとるため、一人、思考を深めたい人も多いと思います。
そんな時、おすすめしたい2冊の本があります。
1冊目は『漫画 君たちはどう生きるか』

80年以上読み繋がれる名作『君たちはどう生きるか』を漫画化したものです。
この作品の原作が書かれたのは、1937年。
前年には陸軍将校によるクーデーターを試みる二・二六事件が起き、戦争への足音が聞こえてきた仄暗い時代です。

時代の不条理や困難と戦った著者は、検閲が厳しくなる中、児童向けの啓蒙の書という形で名作『君たちはどう生きるか』を生み出しました。
当時、公には言いにくくなっていたメッセージを一冊の本に込めたのです。
主人公コペルくんはおじさんと対話をする中で、「ある事件」をきっかけに人生の普遍的な問いに向き合っていきます。

いじめ、自己決定、差別など様々なテーマを含む作品で、「人として大切なこと」を問いかけます。
最近同名の映画も公開されましたが、ジャーナリストや映画監督、俳優、政治家など、多くの人がこの作品に影響を受けたと言います。
2冊目は『冒険の書』。

こちら今年の2月に発売されたピカピカの新刊です。
著者は起業家として活躍してきた孫泰蔵さん。ゲームやITの分野で活躍してきた方です。

孫さんが本を書くきっかけとなったのはコロナ禍でした。
自宅から一歩も出ることが許されない状況になった時に、「ずっとやりたかった学び直すということをしよう」と決意しました。
「なぜ学校はつまらないのか」
ずっと胸の中にあったこの問いから始まり、「なぜ好きなことだけやっていてはいけないのか」「なぜ親のいうことを聞かなければならないのか」など縦横無尽に問いはじめました。

また、孫さんは投資家として最先端のAIが作り出すものに触れていました。
完全に自動運転で動くタクシー、雨の中でも正確に自宅の前に宅配してくれるドローン、わずかな情報から驚くほど正確な答えを出してくれる生成系AI・・
「あらゆることをAIが代行してくれる」

驚くべきほどのテクノロジーの進化に触発されて、社会や人の在り方が変わると確信。「本当に人間にとって大切なことは何なのか?」と自問自答し、それを仲間内に短い文章で共有していきました。
それが本としてまとまったのが『冒険の書』です。
この2冊の本は書かれた時代も著者もまったく違いますが、同じことを問うています。
「本当に求めていることは、自分で問うて見つけるしかない」
特に、世の中が大転換する時代には、お手軽な答えはなく、そう見えるものは危険ですらあります。
本当の答えは自分の内にあるのでしょう。
80年以上の時空を超えて、それぞれの著者が紡ぐメッセージはどこかで共鳴しているかのようにつながってきます。
無意識で人生の答えを、何かに求めることはありませんか?
夏休みにじっくり自分に向き合ってみる。
その時に、この2冊ほど伴走者として頼もしい本はありません。

吉野 源三郎(原作) 羽賀 翔一(画)
発行元:マガジンハウス

孫 泰蔵(著) あけたらしろめ (挿絵)
発行元:日経BP