MESSAGE所属長あいさつ
BRUTUS

第四編集局 局長
BRUTUS編集部 編集長

あらたな視点を、
一緒に探し続けよう。
BRUTUSは来年1月に1000号を迎えます。それもあって最近、時間のある時にバックナンバーをぱらぱらと読むことが多くなりました。創刊当時のキャッチコピーは「時代を曳航(えいこう)するメディア」。〝曳航〟とは、港などで大型船を引っ張って進むこと。時代を牽引していく存在でありたい、当時の先輩たちがBRUTUSにそんな想いを込めたのかもしれません。久しく目にしなかったこのキャッチコピーを再び見た時、この〝曳航〟という言葉が、今の気分に妙にしっくりきたのです。大型船をゆっくりと確実に船着場へと誘導していくタグボートのように、私たちも情報のスピードで争うのではなく、じっくりと普遍的なテーマの中に潜む愉しさを見つけ出し、小さな編集部だけど力を合わせて大勢の読者をその世界に誘っていきたい。そう居住まいを正したのでした。
さて、ファッションにインテリアに音楽に、はたまたナチュラルワインにドーナツに鉱物まで。年間23冊、毎回異なるテーマで特集を創り続ける私たちですから、よく「BRUTUSってどんな雑誌?」と聞かれます。そんな時のために、ある言葉を紡ぎ出しました。「NEW PERSPECTIVE FOR ALL:あらたな視点を求める、すべての人に」。私たちは「情報」ではなく「視点」を、いま届けたいと思える瞬間に編集して差し出すことを生業としています。そしてそれは職業や性別などにとらわれない、その「視点」を欲しいと思ってくれているすべての人に対して届けたいと考えています。
さらに今のBRUTUSは、その「あらたな視点」を雑誌だけにとどまらず応用し続けています。ウェブサイト〈BRUTUS.jp〉はオリジナルコンテンツをさらに充実させ、ひとつのメディアとして急成長中。BRUTUS編集者のスキルとアセットを使って企業の課題解決に取り組むクリエイティヴブティック〈PB〉も、雑誌ではできなかったさまざまな表現に挑んでいます。昨年9月に立ち上げた読者組織〈WITHBRUTUS〉は、BRUTUSの世界観をリアルに体験してもらうための企画が目白押し。11月にはもうひとつのコミュニティ〈BHIVE(BRUTUS CREATORS HIVE)〉がソフトローンチ、クリエイターとユーザーとを編集者が介在し繋いでいくプラットフォームにしてメディアのような場所をつくっています。
つまり何が言いたいかというと、編集者の仕事というのはむしろどんどん広がっているということ。〝編集力〟という武器を携え、今までになかったフィールドに入り込むことができるのです。私も編集者になって26年が過ぎましたが、なんでも編集できるってこんなに楽しいことはない、そう強く思っています。

サウナ特集をつくった勢いで、COEDO BREWERYさんとサウナの後に飲みたいビールまでプロデュース。これも編集という仕事!

〈PB〉での取り組みのひとつ、無印良品のブランドブックを編集。全国の店頭で配布され、すぐに品切れとなる人気に。