特別企画
奈々さん演じる「咲子」を探しに、山口県・下松市に行ってみた!! その2




ⓒ2014 下松フィルム・コミッション

そしてあの名シーンが繰り広げられた釣突堤へ!あなたも映画「恋」の咲子さん気分。

 腹ごしらえがすめばあとはしっかりとロケ地巡り。道の脇には奈々さん、ではなく奈々さんのような菜の花が咲いてました!!
まずは笠戸島内にある「はなぐり海岸施設」へ。そう、映画「恋」のなかで俳句仲間と二人が訪れた場所です。映画のワンシーンの場所を実際に目の当たりにすると、けっこうゾクゾクきますね。

ああ、ここであの二人が……映画の中に入ったようで不思議な気持ち。あいにく訪れた日は天気かあまりよくなく、曇り空でしたが、海に突き出た遊歩道を歩くと周りは一面、海、海、海。しかも水が本当に透明。心が洗われる。映画の中の二人も、海に心洗われて、素直になりつつ、でもどうしても洗い流せない過去の思いと……(以下、映画をみてください)。

釣り人がいたので聞いてみる。「釣れますか?」「……メジナ、くらいかな」だそうです。メジナ釣れたらいい釣り場ですよね。釣りに来るのもいいかもしれません。
 しかし、ひとつ疑問が。海に見える貨物船が「国民宿舎大城」で見たところから1ミリたりとも動いていない様子。もしかして難破船? それともその船すらも風景に取り込むためにわざと置いてある?ひとしきり考えたのですが、結論は「笠戸島にあるドックへの入り待ちをして錨泊(びょうはく)している」ではないかなあということになりました。

そしてここでさらなる重大な問題が発生。映画のワンシーンにでてくる釣突堤。なんと!3つもあるんです。さすがにどの釣突堤で撮影したのかまではチェックしてませんでした。もしこれからロケ地巡りする方は、ぜひしっかり映画をすみずみまでチェックして、どの釣突堤で撮影したのか確認してから来てみてください。そして奈々さん演じる咲子になりきって同じように海をながめ、セリフをそらんじればあなたも女優です!!!周りは海なので恥ずかしくありません!!


 釣突堤を離れ、笠戸大橋を渡って、笠戸島から市内へ。映画「恋」は笠戸島だけでなく、市内いろんな面白い場所で撮影をしています。中には入れませんが、日立の工場でも撮影は行われたらしいです。そして下松市役所。「市役所なんて出てこないよ」という方、どこかで見覚えありませんか?
この建物。そう、病院です。玄関を見れば「あのシーン」思い出してきますよね?
映画では意外とこういうことがあって、違う建物が違う場所として使われることもあるんですね。ここまですべてわかった人はかなり映画ファンです。


そして映画のストーリーのもととなる「きつねの嫁入り」を肌で感じる。

 

 そして映画「恋」のエピソードの下敷きとなっている花岡福徳稲荷社(法静寺)。「きつねの嫁入り」のお稲荷さんです。
 どうやら平成29年度稲穂祭できつねの新郎新婦とともに行列する花神子の募集は終了らしい。中に入っていくと、気持ちが清められるようなスッと鮮やかな赤のお社。荘厳な気持ちになります。まじめな話、少しネタバレですが、きつねの新郎新婦をやったら誰がやったかわかってしまいそうですが、やっぱりそれは秘密、ということにしておくのでしょうね。だって、そうしないと……。貼ってあるポスターの花神子さんも顔が見えないのに本当に綺麗なんだろうなあと想像してしまいます。稲穂祭りは11月3日。ぜひ秋にも訪れてみたい、そんな気がしました。

 

 つづいて歩いて5分ほどのところにある花岡八幡宮へ。洋三郎演じる昭男が句会の主宰に含蓄深い一言を言われたあの場所です。男からみるとなんとも切ないシーンのロケ地です。しかし、この階段の長いこと長いこと。来る人は覚悟してきてください。ですが、登り切った後に見える下松の自然と街並み、そしてそれを包み込むように横たわる瀬戸内海はまさに映画「恋」のキャッチフレーズ「遠くを見つめ続けるあなたにわたしは再び、恋をしました。」という気分にさせてくれます。門の上に描かれている白い馬も本当に素敵ですよ。
今回、瀬戸内の街に初めて来たのですが、その穏やかで日本の原風景にも似た神話の世界のような空気感が、ついつい東京にいるとなんでもかんでも効率、効率と言っている焦りのようなものをやさしく受容し癒してくれるようで、実際には弾丸旅行だったのですが(笑)、優しい気持ちを少しだけ取り戻せた気がしました。
 
……と感傷にふけっていると鳴るのはお腹。「国民宿舎大城」でおかわりをしたのにいろいろ巡ればお腹が減る。最後に下松FCのH田さんに教えてもらったラーメン屋さんに行きました。なんでも下松では豚骨ならぬ、「牛骨」ラーメンが人気とのことで、そのなかで少しあっさりめで女性にも人気というお店でチャーシュー麺を一杯。お店開店前から行列の人気店のようで、持ち帰りもしていました。スープをひとさじ、口にふくむ。味わったことがないラーメンスープに驚きました。ラーメンのスープというよりは洋風のフォン・ド・ヴォーにも似たなんとも洒落た味。でも目の前にあるのは日本の大衆食、ラーメン。不思議な感覚にやや目まい。牛骨ラーメンを出すお店は市内にいくつもあるみたいなので、ヒラメの食べ比べのあとは、牛骨ラーメンの食べ比べも面白いかもしれません。
 
と、ここで時間切れ。岩国錦帯橋空港から東京羽田への帰路につくのでした。

奈々さん演じる咲子さんがいる街、下松市。
「のどかな街じゃけえ、おいでませ下松へ。みんな待っちょるよ~」